ペトラキネシス
「じゃあ俺の仮説を言おう。俺は…!?」
不意に岡崎さんが、俺から受話器を取り上げた。
「MD、残念だが今回は我々の負けだ。こちらから逆探をかけようとしたが…
なかなか用意周到のようだな。今話していた男は、逆探の為の時間稼ぎだ。
じゃあな、[本物のMD]によろしく伝えてくれ」
ガチャ
本物のMD…!?
俺は呆然とした。それを見て岡崎さんは、タバコをくわえながら言った。
「これ以上の会話は無意味だ。見ろ」
逆探知装置のデジタルモニターに表示されていたのは、電話番号では無く…
[念波]
!!
しまった…
固定観念に捕われ過ぎたか…
奴ら、2人組だったのか。いや、最低でも2人組と考えるべきか。MDの他に[念波で電話を掛けられる奴]が居た…
世界の電話回線が有線から無線に切り替わってから、ミュータントによる念波での回線介入事件も起こるようになった。事件そのものは盗聴などの軽犯罪ばかりだから、あまり気に留めていなかったが…
考えてみれば、始めから疑って掛かるべきだった。ここの電話番号を、奴らが知っているワケが無い。
くそ、分かったのはMDの相棒の性格と能力だけか…
完全敗北だ…