ペトラキネシス
第7章・追跡
 
「チューリップという花だ」

岡崎さんが言う。
チューリップ…
初めて聞く名前なのに、どこか懐かしい気がする。

「ま、こんな荒れた世の中だ。花の名前なんて、誰も忘れちまった…
そんなコトを覚えていても、金にならないしメシも食えないからな」

確かに。
悲しいが、それが現実だ。そんなコトを考えながら、写真立てを手に取る。

家族の写真。
後列に父と母と、少し歳の離れた兄…
そして前列に幼い三姉妹。

6人家族だったのか。皆、カメラを見て楽しそうに笑って映っている。こんなに幸せそうな家族が…

いや、家族の愛に育まれたと感じられる姉妹が、何故[復讐]を?

写真立ての裏には何も無い。俺は写真立ての裏蓋を取ってみた。


[愛、早紀、翠…
許してくれ]


これは!?
三姉妹の名前か?
順番から、愛が念波の女性であることは間違いないと思う。早紀か翠、どちらかがペトラキネシス能力の持ち主か。

気になるのは[許してくれ]だ。両親か兄の内、誰かが書いたに違いない。この文の意味は何だろう?
この家族に一体何が…

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