ペトラキネシス
 
だがラボがあったとして、場所が分からない。政府の援助があるラボなら警察のデータベースから検索できるが、日記の内容から推測する限りでは個人で研究をしていたように思える。

となると…この周辺か、このビルの中か?
ビルの中で、まだ行ってないのは何処だ?

既に地上はシラミ潰しに調べた。後は地下…?

「岡崎さん、地下室への入口を探しましょう!」


ビル内に、それらしい物は無い。俺達は外へ出た。

ほとんどオゾン層の加護が無くなった日差し。昼間に外出する人は疎らだ。先程の三姉妹のようにフードを纏っていなければ、紫外線が肌を焼いてしまう。

「知立、ちょっと来てみろ」

岡崎さんに呼ばれて、俺はビルから少し離れた場所に向かう。

「花壇だ。ここは元々公園だったみたいだな」

「花壇…」

「あぁ、もう花は全て枯れてしまっているが、この花壇に植えられていたのは…」

「チューリップ…ですか?」

鉢植えのチューリップ…
この公園は、あの家族にとって憩いの場だったのか。だから思い出を忘れないように、部屋にチューリップを…

そんなことを考えて死んだ花壇を見渡していると、何か光る物を見つけた。

< 30 / 45 >

この作品をシェア

pagetop