ペトラキネシス
第8章・悲劇の真相
う…
頭がガンガンする…
麻酔が切れてきたのか、聴覚と嗅覚が戻ってきた。
湿ったコンクリートの臭いと、錆びた鉄の臭い。
その中で俺は、横たわったまま身体を動かせないでいた。
(…ータントか)
誰かの声がした。知らない男の声だ。声質から、年配の男のようだ。
やがて視覚が戻り始めた。ぼやけた景色が段々と鮮明になってくる。
「起きたか、知立要」
「だ…りぇ…だ…?」
味覚が戻らないせいで、ロレツが回らない。声を発するのがやっとだ。
「準ミュータント認定を受けているそうだな。能力は微弱な予知。相違無いか?」
人にモノを尋ねる態度では無い。この高圧的な態度、尋問のつもりか?
「あぁ、そうだ…」
「フン、微弱なら使えないな。その代わり我々の実験の被験者になってもらおう」
何だと?
目と意識がハッキリし、俺の前に居る男の姿を見て理解した。
軍服の姿に階級章…
こいつが[将軍]!
数年前、突如世界を襲った大規模な地殻変動や、温暖化による海面上昇。
各国は戦争などしている場合では無くなり、自国の復旧支援や予算削減のために軍事組織を解体したハズだ。