ペトラキネシス
「姉さぁんっ!」
フードをめくり上げ、愛に駆け寄る娘…
翠では無い。
この女性が早紀か。
将軍は早紀の頭に拳銃の銃口を充てた。
「SK、貴様の弱点は知っている。PKバリアは至近距離からの攻撃は防げない。
貴様はどうする?
姉と同じ命運を辿るか、
それとも…」
早紀は涙を流しながら将軍を睨みつけた。
「ワタシ達のカタキは、翠が必ずっ!」
パァン!
コンクリートに囲まれた部屋に、2発目の銃声が響く。
早紀は愛に折り重なるように倒れた。
「愛、早紀…」
俺は三姉妹の悲劇的な生い立ちに同情し、目の前の男に激しい怒りを感じていた。しかし俺は彼女達の近くに居ながら、何もしてやれなかった。
今度は俺が、自分の無力さに悔し涙を流した。
(ワタシ達の為に泣いてくれているの?)
この声は…
「翠か!?
「MDか!?」
俺と将軍は同時に叫んだ。
暗がりから幻影のように現れた美少女…
「柿崎翠…」
自分の名前を呼ばれた翠は、俺の顔を見て少し微笑んだ。
悲しげに。