ペトラキネシス
第2章・事件発生
俺の住む部屋は、いつ警察から要請があっても対応できるように、警察の独身寮にある。と言っても俺の住む階には誰も住んでいない。俺が準ミュータントだという理由だけで隔離されているからだ。
独身寮というより、独房だ。
リリリリリリリリ!
ある日の夕方、部屋の電話のベルが、けたたましく鳴り響いた。
ガチャ
「知立か?」
電話の相手は岡崎刑事。俺を[拾って]くれた人だ。まだベテランの域には達していないが、超能力犯罪を幾つか解決した功績は認められているようだ。
「…俺です、岡崎さん」
「出られるか?」
岡崎さんの[合図]とも言うべきセリフ。要は超能力犯罪事件が起こったということだ。
「久しぶりの事件ですね。それが超能力犯罪だという確証は?
岡崎さんの勘ですか?」
「分からん。それを確認しに行く。ミュータントの仕業の可能性が1%でもあるなら、行かねばならない」
超能力犯罪の大半は殺人事件。仮に超能力犯罪なら、また残酷な殺され方をした死体を見なければならないのか…
しかし、今の俺は警察の犬だ。断れない。
「分かりました。行きます」
「独身寮前で待っている。早く出てこいよ」