ペトラキネシス
翠は変わり果てた姿の姉達の身体にそっと触れた。
「愛姉さん、早紀姉さん…」
翠が触れた辺りから、姉達の身体が変色してゆく。
翠のペトラキネシス…
愛と早紀は石像と化し、やがては砂のようにサラサラと崩れた。
彼女は遺体をも石に変えられるのか。
将軍が銃口を翠に向ける。
「MDよ、貴様は賢い選択をすると信じておるぞ。貴様こそ、我々の究極兵器なのだから!」
翠は立ち上がり、俺に言った。
「…知立さん、後は頼みます」
「待て、翠!
お前まで死ぬ気か!?」
翠は振り返り、今度はニッコリと笑った。
「ワタシは…
貴方のような人に、もっと早く出会いたかった。
ワタシ達の[痛み]を分かってくれて、ワタシ達の為に泣いてくれた貴方に…」
そして彼女は将軍に向き直り、
「貴方の部下は、全て石になってもらいました。姉達はワタシが貴方以外の狂った軍人を片付けるまでの時間稼ぎ。
貴方は、ワタシが倒す!」
「小娘が!」
パァン!
弾丸は翠に命中する前に、粉々の砂粒に変わる。
パァン!
パァン!
パァン!
翠の前では、銃など無力だった。