ペトラキネシス
パァン!
カチ…カチカチカチ
将軍の銃は弾切れを起こした。
翠はゆっくりと右手を上げ、将軍を指差した。そして、あの時のように妖しく目を光らせた。
「ヒッ…」
将軍が恐怖に声を上げた。胸の辺りから石化が始まる。
「あ、あ…私の身体がぁ!
嫌だ、死にたくない!
死、に…た…く、な…」
柿崎姉妹の復讐は終わった…
力を使い果たした翠は膝を着き、うつぶせに倒れた。
「翠っ!」
駆け寄った俺は、翠を抱き抱える。
!!
お前、左腕が無かったのか…
それだけでは無い。左肩の感触が妙だ。俺は翠の衣服を少しだけ剥いだ。
「お前…」
強力な能力は、それなりのリスクを伴う。翠は最後の力を使い果たしたのだ。
左肩から徐々に石化が始まっている。
石化速度が速い。このままでは5分と経たない内に、全身に広がるだろう。
「知立…さん…」
うっすらと目を開ける翠。
その目からは涙が一筋。
「ワタシが最初に石にしたのは…」
「分かってる。両親と兄さんだろ?」
廃ビルの屋上で見た、不自然に多く転がる石。
警察にタレコミがあった時に3人殺したと聞いたが、実際は3人は既に死んでいたのだろう。
多分、将軍の配下に居場所を突き止められたのだ。