ペトラキネシス
「お前、予知は操れるようになったか?」
合流後の車中、岡崎さんはタバコに火をつけながら聞いてきた。
「いや、まだです…」
「そうか…」
俺の返事を聞いて、岡崎さんの表情は険しくなった。
「そろそろお前の能力、操れるようになってもらわないとな。今後、俺達が標的になる可能性もある」
俺達が標的…
確かに超能力犯罪者にとって、俺達は邪魔な存在以外の何者でも無い。
「今回、犯人は殺人予告をしてきた。犯人は自らをMDと名乗っている」
「MD?」
略称?
イニシャル?
それとも組織のコードネームだろうか?
だが奴ら、ミュータント犯罪者は基本的に単独犯。群れることは無いと考えた方が良い。特殊能力者…特に殺人能力者を仲間に引き入れるのは、自分も危険だからだ。
「今、奴の指定した場所に向かっている。そこに何が待っているか、予知してほしかったんだがな…」
「…すみません」
「お前が謝る必要は無い。お前だって能力が欲しかった訳じゃ無いだろう?俺もお前の能力に助けてもらったことがあるしな」
そうだ。岡崎さんと俺の出会いは犯行現場だった。偶然にも能力が働いたオカゲで、岡崎さんは危機を逃れた。そして事件は解決。俺は岡崎さんに拾われることとなった。