ペトラキネシス
「岡崎さん、屋上から風が入って来てる!」
さっき車の中では一発で火が着いたライターが、コンクリートに囲まれた屋内で着火できないのは不自然だ。なら風が着火を邪魔していると思うのが妥当だろう。
「屋上、か…」
やはり5階から屋上への扉は、これみよがしに開いていた。警戒しながら踏み込む。
予想通り誰も居ない。死体すら無い。全くのガセネタだった。俺達は愉快犯に躍らされて、無駄に時間を過ごさせられただけだったようだ。
「やれやれ…」
岡崎さんはタバコを足元に捨て、足で消した。足元には上がってきた階段と同様に石が転がって…
待てよ。
石にしては奇妙だ。その辺に転がっている石では無い。質感が全く違う。まるで軽石のような質感…
!!?
「岡崎さん!!
石です、石を集めて下さい!」
「石だぁ?
それが殺人と関係あるのか?」
「いいから!」
俺と岡崎さんは、不自然に転がる石を集め始めた。何分か経った時、
「…あった」
俺の嫌な予感が当たった。