魔女の瞳Ⅴ
階段を下りて下駄箱へ。

私はローファー、修内太はスニーカーに履き替える。

「どうする?今日は私んち寄ってく?」

「んーそうだな…久し振りに寄っていこうかな。たまにはメグとも模擬戦闘とかしてみたいし」

鞄を持ち替えた修内太が生意気な事を言った。

障壁、『矢』の魔術、『強化』の魔術に『狂化』の魔術。

呪眼使いとしてレパートリーの増えた修内太は、まだ私には勝てないまでも、最近模擬戦闘でそこそこの勝負ができるようになって来た。

今の修内太なら、彼の左目を奪った相手…私と修内太の出会いのきっかけとなったホムンクルス相手でも、いい勝負が出来るかもしれない。

でも。

「私と模擬戦闘がしたいですって?」

私は意地悪な笑顔を浮かべて見せた。

「身の程知らずな発言は寿命を縮める事になるわよ?ついてらっしゃい?」

「うわあ…」

今更ながら、修内太は『口は災いの元』という諺の意味を、身を以って知ったようだった。

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