魔女の瞳Ⅴ
校門を出て帰宅の途につく。

春になって少しずつ日が長くなってきた。

午後五時を回ったというのに、まだまだ明るい。

吹き抜ける風もどこか心地よく、つい遠回りして帰りたくもなるというものだ。

「あれ?」

いつもの帰り道を曲がらずに真っ直ぐ。

私が御影川にかかる橋を渡ろうとしているのを見て、修内太が立ち止まった。

「どこ行くんだ、メグ?」

「いいじゃない、たまには付き合いなさいよ」

そう言って私は橋を渡る。

全長50メートルほどの御影橋。

そこから御影川のせせらぎが見える。

川沿いに咲く桜の花びらが水面に浮かび、桃色に染まる。

「なかなか桜もいいもんね」

そうやって水面に気をとられていたので。

「メグ」

修内太に呼ばれて、私は初めて目の前に男が立っているのに気づいた。

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