魔女の瞳Ⅴ
そもそもこの男はどこかおかしかった。

人外なのはすぐにわかったのだけど、あまりにも露骨に殺意が見えすぎている。

しかもこんな日のあるうちから、こんな橋の真ん中で。

人外ならば人目に付く事は嫌う筈だ。

なのにこんな場所で仕掛けてくるなんて。

「仕掛けてくるなら結界くらい張りなさいよ」

アスファルトをしっかりと踏みしめ、初動に備える。

「あぁ?結界ぃ?」

青年は訝しげな表情になった。

「そんなもん使える訳ねぇだろうが。亜吸血種は魔術専門じゃねぇんだ」

「亜吸血種!?」

修内太が目を丸くする。

そうか、彼は初めてその名を聞くのね。

「おぅよ。太陽の光を克服した吸血鬼の亜種だ…俺の名前は佐久間武羅人。どっちがでかい魔力の持ち主か知らんが…まぁいい…」

青年…武羅人の双眸が赤く染まった!

「どっちもぶっ倒しちまうか…!」


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