魔女の瞳Ⅴ
流石に面食らったのか、武羅人の動きが止まる。

絶好の機会だった。

私はすかさず。

「     !」

高速詠唱!

振りかざした右手から、半透明の三日月状の刃を撃ち放つ!

『風刃』の魔術。

下手な刃物よりも鋭い切れ味を持つ風の刃だ。

動きを止められた武羅人に回避する術はなく。

「ちぃっ!」

彼は左腕一本を犠牲にして、これを防御した。

とはいっても、彼の肉体とてそれほど堅牢じゃない。

結果して武羅人の左腕が足元に落ちる。

『風刃』を受けた以上、当然の結果だった。

「やった…!」

修内太が思わず声を上げる。

しかし。

「いってぇ…」

その程度の感想だけ漏らし、武羅人は拾い上げた自らの腕を傷口に押し付ける。

「くっついても動くまではしばらくかかるか…」

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