魔女の瞳Ⅴ
ゴッ!

人間ならば確実に拳の骨が砕けるだろうという勢いで、武羅人は足元のアスファルトを殴った。

めり込む拳。

走り始める亀裂。

御影橋が、ミシミシと啼き始める。

僅かな震動。

この時間は帰宅時間という事もあり、多くの車両も御影橋を通行している。

その重量も相まって。

「!!!!!」

橋は武羅人の一撃により、いとも簡単に崩壊した!

崩れ落ちるアスファルト、川に転落するトラック、バイク、軽自動車。

あっという間に周囲は大パニックとなる。

そんな中、武羅人は器用に、落下する車から車へと飛び移りながら、向こう岸へと渡っていた。

恐らく彼の狙いは、橋ごと私達を川に沈めてしまおうといった所か。

残念ながら。

「……ちっ」

『飛翔』の魔術で空中に難を逃れた私と修内太を見て、舌打ちしていたけど。

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