魔女の瞳Ⅴ
これで一応武羅人の件は万事解決だ。

あの戦いの目撃者達の記憶も魔術で全て偽造しておいたし、これからも問題なく御影市で暮らす事が出来るだろう。

「あ」

修内太が唐突に声を上げる。

「そういえば…その件で一つ質問」

「ん?なに?」

私は首を傾げた。

「メグってこの御影市に来るまでに、日本全国を転々としてたんだよな?一所にいたら自分が年をとらない…つまり魔女である事がばれる可能性があるから」

「ええ、そうよ」

よく冷えたアイスティーを飲みながら頷く。

美味しいアイスティー。

我ながら最高の出来映えだった。

「じゃあさ」

修内太は言う。

「何で御影市には留まるんだ?あんなに手間な『広域忘却』の魔術まで行使して…この街から去った方が、手っ取り早くなかったか?」

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