スノウ
電話に出ようか迷ってしまう。
電話に出て隼人の声を聞いたら、頭ではわかっていても隼人とのこれからを望みたくなるような気がした。
迷っているうちに電話は切れて、安堵する自分がいた。
ほっとしたのも束の間、今度は部屋のチャイムが鳴った。
ドア越しに訪問者を確認する。
隼人だ。
ドアを開けると隼人はいつもの笑顔を見せた。
「こないだはごめんね。ちょっと仕事トラブっちゃってさ。」
嘘…
一瞬でわかった。
片側の眉毛だけ上がる癖、大学時代から直らない隼人の癖。
きっと社長の娘とトラブったのだろう。
「嘘。社長の娘とでしょう?」
隼人は困ったような顔をしている。
「あのね、もう隼人とは一緒にいられない。今回こんな話が出て気がついたの。私は隼人と一緒に居てもしあわせにはなれない。隼人の都合のいい存在にはなれないよ。」
やっと言えた。
今ならきちんと別れられる。
そう思った。
「会って早々何?ぼくにはみちるだけだって言ったよね?今後のために社長の娘と一緒になるだけで、みちるへの気持ちが変わってしまったわけじゃないって。」
隼人は少し驚いている。
私が別れ話を持ちかけるなんて夢にも思わなかったというような顔をしている。
「隼人はずっと私の憧れだった。正直隼人の悪いところを挙げてみろって言われても思いつかない程に、私はこの5年間隼人に夢中だった。だけど」
「だけど?」
「だけど今は隼人と一緒にいてもさびしくなるばかりなの。一緒にいたって一人でいるみたい。就職して隼人は変わったよ。いつまでも同じでいられるわけないけど、出世のために人の気持ちを利用する隼人の気持ち、わからない。」
隼人は黙って私を見つめている。
電話に出て隼人の声を聞いたら、頭ではわかっていても隼人とのこれからを望みたくなるような気がした。
迷っているうちに電話は切れて、安堵する自分がいた。
ほっとしたのも束の間、今度は部屋のチャイムが鳴った。
ドア越しに訪問者を確認する。
隼人だ。
ドアを開けると隼人はいつもの笑顔を見せた。
「こないだはごめんね。ちょっと仕事トラブっちゃってさ。」
嘘…
一瞬でわかった。
片側の眉毛だけ上がる癖、大学時代から直らない隼人の癖。
きっと社長の娘とトラブったのだろう。
「嘘。社長の娘とでしょう?」
隼人は困ったような顔をしている。
「あのね、もう隼人とは一緒にいられない。今回こんな話が出て気がついたの。私は隼人と一緒に居てもしあわせにはなれない。隼人の都合のいい存在にはなれないよ。」
やっと言えた。
今ならきちんと別れられる。
そう思った。
「会って早々何?ぼくにはみちるだけだって言ったよね?今後のために社長の娘と一緒になるだけで、みちるへの気持ちが変わってしまったわけじゃないって。」
隼人は少し驚いている。
私が別れ話を持ちかけるなんて夢にも思わなかったというような顔をしている。
「隼人はずっと私の憧れだった。正直隼人の悪いところを挙げてみろって言われても思いつかない程に、私はこの5年間隼人に夢中だった。だけど」
「だけど?」
「だけど今は隼人と一緒にいてもさびしくなるばかりなの。一緒にいたって一人でいるみたい。就職して隼人は変わったよ。いつまでも同じでいられるわけないけど、出世のために人の気持ちを利用する隼人の気持ち、わからない。」
隼人は黙って私を見つめている。