スノウ
「あれ、1枚しかないんだ。」

肩をすくめて慧は笑って見せた。

「だったらどうして!」

なぜ1枚しかない自宅のキーを渡したりするのだろう。

「からかってるの?」

慧は首を振って言った。

「もう一度その声が聞きたかったからかな。みちるの声は楽器みたいだよ。音楽に長年携わってきたけど、こんないい音聞いたことない。だからかな。」

慧のさらさらの髪が揺れた。


「カードキーちょうだい?」

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