スノウ

驚き

慧と出会って一月が経ち、あれから時々食事をするようになった。


何者だろうとよかった。
隼人を忘れるために、ああいう人と関わるのも悪くないのかもしれないと思っていたし、彼の好きな音楽やファッションの話を聞いているだけでも十分楽しくなっていた。

「みちる。今夜暇？」

同期の渚が話しかけてきた。

「あ、ごめん今日は」

慧がご飯を食べに連れて行ってくれると言っていた。

「あ、隼人くん？」

渚はにやにやしながら聞いてきた。
もう別れているというのに。

「まぁそんなところ」

特別渚に報告するまでもない

そう思っていた。
渚とは同期入社ということもあり、それなりに親しくはしていた。
ただ、わたしはあまり自分の事を離すのが得意なわけじゃなかったから、つい人と距離を置いてしまう。
< 30 / 33 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop