スノウ
渚がわたしとの距離を縮めようとしているのはわかっている。
だけど、私は渚に対して引っかかることがあった。

ホスト―

一度飲みに行こうと誘われ、連れて行かれたのがホストクラブ。渚は私と同じ給料しかもらえていないはずなのに、結構通っている。お金を貸して欲しいと言われて断ったこともある。

だからなんとなく苦手だった。
お金を貸してくれという人にはロクな人はいない。
自分の親がそうだったからだ。

「星野、お疲れ。」

肩を叩かれて驚いた。

「そんなにびっくりするなんて。ボーっとしてたんでしょ。」

同じ部署の鈴田くん。
同期入社の男の子だ。

「あ、ごめん。」

私は肩をすくめて言った。

「資料頼んだやつ出来上がってる?それと今日の飲みって出るの?渚は来るって言ってたけど。」

資料を渡すと、資料の中身をパラパラ見ながら言った。

「そういえば見たよ。こないだlifeのDJといたの。かっこいいよねあのDJ。知り合い?」

見られていた…

「あぁ、友達なの。」

鈴田くんはびっくりしている。

「マジ?それはスゲーわ。紹介してよ〜イベントメッチャアゲちゃう大変な人だよ。」

本当に慧のことを言っているのか?

「慧が?」

鈴田くんは不思議そうに言った。

「本当に友達やってんの?」

と。
< 31 / 33 >

この作品をシェア

pagetop