スノウ
意味がわからない。
私の左手の薬指に輝くダイヤモンドは…?プロポーズじゃなかったの?



「何の冗談…」

そう言いかけた時

「社長の娘と結婚が決まったんだ。だけど愛してるのはみちるなのは変わらない。ぼくはこの会社のトップになりたい。」


何、言ってるの・・・・

「じゃあこのダイヤ何・・・・」

隼人は困ったような顔をしている。

「私、これから愛人になるの・・・?冗談じゃないわよ・・・。」


「みちる。わかって。」

何をわかれと言うのか。
そんな事言われたら私がわがまま言ってるみたいだ。


「ごめん。仕事に戻らなきゃならなくなったんだ。会計、すませておくから。近いうちにゆっくり話し合おう。」

隼人の携帯が震えている。

いつもこう。
私が隼人と向き合いたいと考えていても、隼人はそれを遮るように仕事に戻って行く。


テーブルのキャンドルの向こうに隼人の背中が見えていたけれど、追いかけない。

無駄だと知っている。

いつだって仕事第一なのだから。
< 4 / 33 >

この作品をシェア

pagetop