エリートの旋律
まるで 恐ろしい物でも、見ているような視線――
確かに彼は、出会った頃から。
物静かで、大人しい人だったけど。
ねぇ、その視線・・・・
彼女に向けるモノか・・・?
すると 弱々しい小さな声が、耳に届いてきた。
「・・・苦痛なんだよ。
何かにつけて、すぐに文句を言われるし。
それに 俺よりはるかに、何でも器用にこなさしてさ。
俺のメンツなんて、もう丸潰れ・・・
絵美の性格からすると 虐げられるのは覚悟してた・・・
でも、惨めな思いまでするとは思わなかったよ。
ハッキリ言って、拷問と一緒だ・・・」
俯きながら、ボソボソ話す彼。
その割には あまりに辛辣な、言葉の数々。
一発、制裁をかけてやりたい。
「・・・言いたいのはそれだけ――?」
だけど、それは私の意に反するし。
怒りと悔しさをグッと、押し殺して尋ねた。
「あぁ、ごめん――」
返事をくれた彼は、深く頭も下げている。
これでまた・・・・
THE END・・・・