エリートの旋律
そんな哲は、ビールジョッキを置くと。
こちらをジッと、見据えてきた。
先ほどとは違う、瞳に色を為した視線――
向けられた私は思わず、ドキッとしてしまった。
何で、なにも言えないんだろう?
お、おかしい・・・ 相手は、哲だよ!?
すると・・・・
「まぁ・・・俺としては、良かったけどな――?
フラレてくれて・・・・」
ヤツの目線が、一瞬だけ、上へと向いた。
「な…、何でアンタが良かったのよ?」
どうしてか私は、心音が煩い。
言葉に詰まるなんて、どうかしてる・・・