となりの野獣
となりの野獣
むかしむかし、あるところに、
とてもいじわるな王子がおりました。

ある晩、宿を借りに来た老婆をいつものように門前払いをすると、
またたく間に老婆はうるわしい女神へと変貌してこう言ったのです。


「お前はなんと醜く冷酷な心を持った人間だろう。
その身も醜く歪むが良い…。」


王子はみるみるうちに恐ろしい野獣へと変わってしまったのでした。

ゆるしを乞う王子に、女神は言いました。

「この魔法の薔薇が散るまでに
そんな醜い姿のお前を心から愛する者が現れたならば、
その魔法はたちどころにとけるだろう」

と…。



魔法の薔薇は千年薔薇。
跡取りを亡くした王国が滅びても
その国を乗っ取った国が大陸を支配してもなお、

枯れることはありませんでした。


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