となりの野獣
俺は駆け寄ろうとした。

しかし、降ってくるシャンデリアが行く手を阻む。

腕の中で震えるうさぎを守るので精一杯だった。


ガガガガガガゴゴゴゴゴゴゴ…




それは、
誰が悪いのでもないのだろう。

敢えて言うならば、時の流れの仕業。
風化とはそういうもの。

轟音を建てて崩れ落ちる俺の住処。
悠久もの時を共にした屋敷。

目尻に感じる雫。

俺は泣いているのだろうか。

ぴすぴすとうさぎが俺の顔にすり寄る。


「ああ、お前がいるな。
これからはお前が一緒だ。」


そっと、夜風に震えるうさぎの毛皮を撫でてやる。


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