となりの野獣
しかし、不審者が侵入したという話を聞いたばかりなので、隣人として警戒してやった方が良いのかもしれない。

俺は足音を忍ばせて、階段を上がった。
肉球のついた足は毛皮に覆われていて、そっとつけると本当に気配を消すことができる。


不審者は探すまでもなくリビングにいた。
先程まで俺が寝ていたソファの傍らで毛布を掛けて、すやすやと寝ていた。


「え、ええと…もしもし?」


俺は揺り起こそうとしたが、その健やかな寝息は全く乱れない。

もしかしたら、起きてすぐ外に飛び出したので気づかなかっただけで、一緒に寝ていたのかもしれない。
先程の音はソファーから落ちた音なのかもしれない。

そう思い当たって少し毛を逆立てる。


「ちょっと!おい!!」


更に強く揺すると、やっと身動きをする。
毛布が少しズレただけだったが。

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