となりの野獣
「こんにちはー
隣に引っ越してきたローズ・グローリアスと申します。
よろしくお願いします」


長年、空き家だった隣に人が越してきた。
背丈は俺の半分ほど。

埃が乗っている鼻はすじが通り高く、
血飛沫の散った肌は雪のように白く、
血も凍るような微笑みを浮かべた形の良い唇はその血よりも鮮やかな紅だった。

幼いながらも、恐ろしく人形のように整った美しい隣人だった。
恐ろしかった。

うさぎを掲げている手までか細く白く、血まみれでなければ、力仕事をしたことのないような清らかで可憐なものだった。


「…ええと、柳生さんでしたっけ」


隣人は居心地悪そうにたじろいだ。

ただ呆然と見とれていた俺は慌てて、訂正する。


「あ、いや。野獣です」

「そのままですね。
あ、これたいした物じゃありませんが、どうぞ」
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