となりの野獣
三人の視線は一斉にジュリアに集中した。


「え?今私がなれそうなのは雌犬くらいよ?」


失業だ。
目の前が暗くなった。

あの斧以外に、俺の力に耐えられる物はなく。
このオークの怪力を使えて、村の隅でひっそりと暮らせそうな仕事をまた探し直すしかない。


「良い考えがありますわ。野獣さん」


にっこりと微笑むローズは、遥か昔に見た女神を思い出す。

いや、その救いの手は女神以上の心強さと神々しさを持っていた。


「私のお店でガードマンをやっていただけません?
こう見えて、皆さん優しいお客様ばかりではないので。

このお二人はウェイターさんになってもらえませんか?
予想より沢山のお客様で、今人手が足りてませんの」

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