となりの野獣
俺の薔薇の魔法か、ストーカーの偏愛が何か変わった作用を起こしたのか。
そのジャムを食した人の身の回りの物を人間にしていたのだとしたら。

あのジャムをあいつらに食べさせれば、俺が人間に戻れるかもしれない。


いっそ突飛な考えだったが、それ以外に思いつかなかった。

そうでなければ、俺の薔薇が浮かばれない。


「あの薔薇のジャムはどうした!!…いや、どうしましたか?」


肩を揺さぶっている相手がローズだったことに気づき言い直す。

ローズは驚いたようだったが、やがてにっこりと答えた。


「ヨーグルトにかけましたわ」

「ヨーグルト…」

「ランチのデザートの」

「~~~~っ!!!!!」


俺は言葉にならない叫びを上げ、台所へ向かった。
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