勝手にハニーキス
「これじゃ、私が罰ゲーム受けてるみたいだよね?」
泣きそうに瞳を潤ませながら、きっと拓斗を睨みつける静奈。
人一倍泣き虫な静奈の事。これ以上興奮させたら本当に泣いてしまうに違いない。
集まる視線から逃れる事も出来ずに、ただ困った顔をしている静奈に拓斗はもう一度頭を下げた。
「本当に悪かった」
別れてからもそれなりに友達付き合いをしてこれたハズだったのに……どうしてこんな事に。
もちろん、売り言葉に買い言葉で口を滑らせた自分が悪いのだが。
そんな、拓斗の秘められた想いが届く訳も無く、一人立ちした噂だけがずんずんと歩き続ける。