勝手にハニーキス
-キーンコーン-
始業開始5分前のベルが鳴り響くと同時に、パラパラと見物人が減っていく。
もう……戻ったよね?
静奈がそんな願いを込めて上げた顔に、まっすぐ突き刺さるセンパイの視線。
「うわ、めちゃめちゃ可愛いじゃん!」
沼田センパイの隣にいたサル顔のセンパイが声をあげる。
それに同調するように、他のセンパイ達からも
「今あの子フリーなのかな? 付き合いてぇー」
そんな野次が飛び、矛先は再び沼田センパイへと戻る。
「お前もそう思うよな?」
くるりと1学年上の教室へ戻りながら……
「そうだな。試してみたい……かも」
呟いた声は、4人の所へも小さく届いた。