勝手にハニーキス
狙われる日々
登校前の朝、鏡の前で一瞬悩んで……そしてやっぱりいつのもハニーリップを乾燥防止にと塗りつける。
勝手な噂に翻弄されるのは嫌。
だからこそ、やっと見つけた自分にぴったりのこのリップを手放すなんて納得出来なくて。
それは……大人しいけれど、心の奥はちょっとだけ頑固な静奈の意地でもある。
「負けないんだから!」
水色のリボンをぎゅっと結んで、紺のブレザーに袖を通すといつものように学校へと向かう。
きっと昨日よりはマシになっているだろう。
そんな淡い期待をしながら。