勝手にハニーキス
それでも……
「静奈? 遅刻するわよ?」
「ん……頭痛い」
その言葉に静奈の母はピンクで統一された部屋の脇、ベッドにそっと腰掛けるとそっとおでこに手を当てる。
「熱は無いみたいだけど。でも顔色悪いわね。今日は休む?」
優しい言葉に静奈はこくこくと頷いた。
センパイとの事は心臓が跳ね上がるぐらい嬉しい。
だけど……また知らない人に唇を奪われるような事件が起きたら。
そう思うととても元気になんてなれなかった。
今の自分にとって、明日香と、センパイだけが味方のような……そんな気がして。
もう一度布団に潜り込み、二度寝の甘い時間に逃避していた静奈の目を覚まさせたのはメールの着信音だった。