勝手にハニーキス
「大丈夫? 無理すんなよ。それと昨日も言いたかったけど謝り過ぎだから!」
その画面を見たというのに、また冒頭にスミマセンをつけて返事をしようとしていた自分に気付き静奈は苦笑する。
スミマセン……その言葉は不器用な自分にいつの間にか染み付いた防衛本能なのかもしれない。
センパイが心配してくれた。それだけで十分。
心の扉が少しだけ開かれたみたいで、ゆっくり距離を縮めて行けるようなそんな想いも湧き上がってきて……。
「心配ありがとうございます。明日は行きますから」
着実に、そして確実に、静奈の中で出来上がった王子様のように完璧な沼田の姿。
夢を見てしまうと、そこから抜け出す事は容易くない。
そう、再び戻ってきたメール。そこに、普段だったら嫌悪感を覚えるような内容が書かれていたとしても、それは小さな違和感にしかならないのだから。