勝手にハニーキス



すぐに浮かばなかったのはあの見た目のせいだ。



一見優等生風に見える聡明そうな髪形や顔。それを際立たせるように自然とおさまるメガネ。



例えるならまるで、穏やかな波のようだ。



だから、あんなチャラそうな先輩の中にいても存在感をひっそりと消していたんだ。



だけど……



聞いた事がある。



2年のとあるクラスにいるイケメン集団。そいつらが、ちょっとでも可愛い子を見つけると手当たりしだいに声をかけているって話。



そして、見た目に恵まれたその集団は女に不自由する事無く、適当に遊びまわってるんだと。



立ち上がって窓の外を覗いた歩の視界に、早速3年生の女子と手を繋ぐ沼田の姿が映り込む。



もし静奈があのグループの毒牙にかかっているとしたら……



元来そんなに利口でない頭をいっぱいにしてテンパる歩。



その時、自分とすれ違うように、2年の教室を目指す明日香がいたなんて全く知らないままに……。



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