勝手にハニーキス



「マジで??」



「超試してみたいんですけど!!」



アホ面を晒したまま、机に顔を埋めこぶしでドンドンと机を叩く。



「満足?」



「満足満足! 俺明日から想像しまくりだって」



「それにしても実際に……してみたいよなぁ。静奈ちゃんと」



拓斗はズルい!! そんな結論に達した所で騒ぎ過ぎたのか教室の扉が開いた。



「こら! もう帰る時間だろ」



生真面目な担任に追い出され、歩と並んで帰りの自転車を走らせながら拓斗の胸の中には少しの後悔が押し寄せる。



「静奈の事、あんまり変な目で見るなよ?」



「大丈夫だって、あくまでも噂なんだし、あいつ等もすぐに忘れるよ」



のんびりした声で、盛り上がり過ぎていた残りの二人を気にかける拓斗を慰める歩。



「俺なんて、俺なんて、明日香ちゃんが好きだって言わされたんだからな」



頬を膨らませる歩の落胆はもっともで。



しかし



些細な噂は風に乗り……翌日、想像以上に校内を騒がせる事になるなんて、二人はまだ知る由も無いのだった。



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