勝手にハニーキス



消えてしまった後姿を見送った後、向かいにあったコンビニの駐車場でうずくまると、拓斗が大きな溜め息をつく。



「大丈夫か?……いや、大丈夫な訳ないよな」



「全部俺の責任だ。悪かった」



自分が今日誘わなければ……静奈はあんなヤツだとしても、好きな相手と恋愛出来ていたハズだった。



そもそも自分があんな噂を立てなければ……。



すっかり生気を失って白い顔をしている静奈。こんな悲しい顔を見たかったんじゃないのに。



やりきれない思いにすっかり落ち込む拓斗に静奈はそっと笑う。



「いいの、拓斗があの噂を立てなかったら……私は何も知らないまま、ずっと先輩に片思いしてた」



「だけど、そっちの方が幸せだったんじゃ」



涙が零れないようにと上を向いた静奈の濡れたまつげがキラキラと光って、その切なさを表しているようで……。



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