勝手にハニーキス
「ゴメン……急に」
また、駅前で見たのを思い出すような……叱られた犬のように頭を下げる拓斗。
「ううん」
返事なんて出来なくて。
嫌じゃなかった。それだって言えないけど……拓斗にこれ以上謝らせたくないとも思った。
ひょっとしたら……長い間傷つけていたのは自分の方かもしれないって、気付いたから。
「あの……さ」
「うん」
「せめて、これ以上静奈の生活が乱れないように……守っていい?」
「どういう事?」
「噂を……撤回する」
「そんな……無理だよ」
断言する静奈に拓斗は笑顔で立ち上がった。
「俺に任せて。それと……」