勝手にハニーキス



不安そうに静奈を見つめる拓斗にそっと笑顔を見せると



【ゴメンナサイ】



それだけ打って携帯をパチンと閉じた。



隣にいる人ときっとまた歩いていける。



だって……今の拓斗はあの日よりも優しい表情で、きっと不安も取り去ってくれるような強さも持っているから。



だから、今度は信じてみよう。



拓斗が優しいのは大切に思ってくれている証拠。そうだよね?



今、こんなにドキドキするのは……恋をしているからだよね?



静奈はポーチから使い込んで文字もはげかけたハニーリップを取り出すと、そのまま勢いよくゴミ箱へと捨てた。



< 90 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop