5分100円 コインランドリー
毎年。

この日。

私の記憶は、波のように押し戻されてくる。
溢れ出す記憶に、ただただ呆然とするだけ・・・。


・・・・。

忘れたはずの過去。

消し去りたい記憶。

もう、元には戻せない。


一人夜道を歩き、家へ向かっていた。

私は昔から、算数は嫌いだった。

すでに、答えが決まっている。

何でなのだろう?いつも疑問で仕方なかった。
1+1=2以外にはならないのか?

一度も解けたことの無い計算問題のように頭を悩ませる。
今の、私のように・・・。
永久に抜け出せない迷路。




家の前まで来た。

いつも順ちゃんのお店から、自宅まで歩いている。
アルコール分を取りすぎたせいか、足取りも重く、結構時間が掛かった。
時計は、午後11時を過ぎたところだ。

カギを鞄から取り出し、
ふと、視線を前に向けると。
自宅玄関のドア付近に人影があった。

こんな時間に、来るような友人も心当たりがない。

小さく華奢な体に見えた。
近づくにつれて、その状態がはっきりした。
背中を丸めて、体育座りをしている。



小さな女の子。


そう。

あの時、父親と走っていた女の子。

こんな時間に、面識の無い女の子・・・。
疑問に思った。
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