5分100円 コインランドリー
女の子に近づいた。

足音に気が付いたのか、彼女が顔を向けた。
私に気付きニッコリ微笑む。

彼女と視線を同じにするために、しゃがんだ。

「あのね。おにいさんがね。こまったら、ランドリーの、お姉さんの所に行きなさいって。」

急に、彼女は心配そうな表情になった。
私に、嫌な顔をさせるのを、恐れている。

『名前は、なんて言うの?』

彼女は、うれしそうに名前を言った。

「ももこ。3月3日うまれなんだよ。だから、ももこ。」

得意げに自分の名前の由来を言った。


『ママは?買い物?』


「ううん。」

彼女の表情は、急に暗くなった。

もう、帰ってこない。
そう物語っている。

子供心にも、それくらいの察しは付く。


彼女の母親は、夜の仕事をしていた。
俗に言う。

水商売。 

夜に出かけ、朝に帰ってくる。
日々。

きっと、この子の帰りを待って出かけるのだろう。

なぜなら。

この子は部屋の鍵を持たされていないようだ。
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