涙恋~RUIRENの魔法~
罪が増えた日
手術の日
泣きはらした瞼で視界が狭かった。

病院の待合室で
死刑台に上がるときを
待っていた。

体が震えた。
そばにいる妊婦が幸せそうで
憎らしかった。


「嶋村 亜恋さん」
とうとう名前を呼ばれた。
私は着替えをして
手術室に入った。


「嶋村さん 始めますね・・・・・」


麻酔をかけられて
数を数えた。


1   2   3・・・ 4・・・・・・ 5・・・・・・・・

いろんな夢を見た。
悲しくて
恐ろしい夢ばかり・・・・・・


優が死ぬ夢を見て
私は狂ったように
優の名前を呼び続けた。


「優・・・・・・
私はここにいる・・・・・・・」


「死なないで・・・・・・
ごめんなさい・・・・・
許してください・・・・・・・・」



愛し合ってできた
愛する人との命を

自分の意思で
天国に送ってしまった・・・・

奥さんのように
優の子供が欲しかったのに


今日は帰ったらお葬式をしよう
そして今日のことを忘れない
私が生きている限り
この大きな罪を背負って生きていこう・・・・・



誰かが手を握ってくれた。

「ユウくん・・・・・」

力強く・・・・・・
そして暖かく・・・・・・・・・・・・

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