涙恋~RUIRENの魔法~
朝の風
「そんなにつらいのにそれでも
コーチといることは幸せなのか?」

愛斗の大きな手がとまった。


「うん。一緒にいれるだけで
幸せなんだ。」


「そっか。
じゃこんな亜恋も正解なんだな。」


「強くならないと・・・・
なのにごめんね。
愛斗の前ではいつもこんなんだから。」


「おまえ泣いてると
苦しくなる・・・・・・
俺なら、泣かさないのに・・・・・」



私は、体勢を整えた。


「甘えすぎだね。ごめん・・・・・」




愛斗が私を包み込んだ。



「ごめん・・・・・
ただこうしてるだけだから・・・・・・
イヤか・・・・?」


愛斗の硬く熱い胸が
心地よかった。


私は返事の代わりに
愛斗の背中に手をまわした。


「亜恋・・・・
俺・・・・・切ない・・・・・
マジに・・・・・
ごめん・・・・こんなこと言って・・・・・」


「ごめんなさい・・・・・・
愛斗・・・・・・
私、甘えすぎてる・・・ね・・・・・」


「違うんだ・・・・
俺がちっちゃいんだ・・・・・」


愛斗の声が震えていた。


  これも愛・・・・・
  あれも・・・・愛・・・・・




「ちっちゃくなんてない・・・・
愛斗の胸はこんなに大きいわ。
苦しめているのは私・・・・・」
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