涙恋~RUIRENの魔法~
悲しい二人
部屋のまえには優の友人が
ちょうど帰る頃だった。


みんなが優を囲んでいた。
きっとだれもが
これが最後になるのでは?


そう思っているだろう。
それほど
優の姿は変わってしまっていた。


遠くで見るとなおのことだった。


少し離れて四季が立っていた。


私は、芳樹を振り返る。


複雑な表情だった。
でも四季を見つめる芳樹の
目の中には
隠してある愛が見える。



奈楠のために
押し殺す感情が
痛いほど伝わってくる。


四季が優を見つめて
泣きそうになってるのを
必死にこらえていたから


私は慌てて
四季に駆け寄ってわざと明るく抱きしめる。



四季も明るく私を抱きしめた。


「・・・・ありがと、もう限界だったの・・・・」
小さな声で四季がつぶやいた。


「芳樹さんがいるよ。
大丈夫?」


「・・・・まだ心が痛いけど
大丈夫・・・・・」

四季は頭をさげた。


私も四季を強く抱きしめた。

「四季さん・・・がんばれ・・・・」


「がんばれ。亜恋ちゃん・・・・」



「田澤~行くぞ!!」
仲間の一人が叫んで
慌てて四季が

「行くね。」

そう言って体を離した。
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