涙恋~RUIRENの魔法~
最後の力
「すごい天気だ・・・・」
病院に入ってくる外来患者たちは
言った。



風が恐ろしい音をたてて
ヒューヒュー鳴った。


優がぐっすり眠っていたので
私は売店に行ったりして
時間をつぶしていた。


家に恐る恐る電話をした。
母は

  夕方まで待って
  迎えにいくから

そう言ってくれた。




エレベーターから降りると
詰所が忙しく動いていた。


  どこかで重篤な人が出たんだ

そう思うと体が震えた。



「亜恋ちゃん!!」

優の母親が呼んだ。



その忙しく動いていた看護師が
優の病室から出てきた。



「ユウ!?」


「おかあさん、ユウくんなんですか!?」



私は病室に向かって走った。


病室では、優がのたうちまわっていた。


「優!!しっかりしなさい!!」
母親が叫んだ。



「いて・・・・いて・・・よ・・・・
たすけて・・・・・
いてー・・・・・・・」



のたうちまわって
ベットから落ちて
さらに床を転げ回った。



医師が入ってきた。



「ちょっと出ててください。」

私たちは部屋から出された。



病室では優のうめき声と
看護師の声が交差して
何か大変なことがおきていることを
悟った。



私は優の母親に抱きついた。


「さっきまであんなに穏やかだったのに
どうしてあんなに苦しんでいるの?」



「あんな優は初めてだわ。
あんなに痛がるなんて・・・・
どうしたのかしら・・・・・」



私にはわかっていた。
この胸騒ぎが
優の最後の生命の叫びなんでは・・・・・・・


恐れていた永遠の別れが
もうそこまで来ている・・・・・



その間も
ずっと優のうめき声が聞こえていた。



「先生!!なんとかしてください!!」
母親が悲鳴をあげた。
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