涙恋~RUIRENの魔法~
愛の軌跡
雪が深々と降りつもる。
葬儀会場には
続々と参列者がやってきた。


私はひっそり影に隠れるように
この式を見守っていた。


優の交友の広さがわかるくらいの
たくさんの人たちが
雪をほろいながら
神妙な面持ちで会場に入ってくる。


花に囲まれた
祭壇に飾られている優の遺影が
参列者の足をとめる。



遺影は、優の母親が

「優らしい写真を亜恋ちゃんが選んで。」と言ってくれた。


私は優のアルバムをめくりながら
私と優が再会する寸前の
一枚を選んだ。



幸せそうな優は
キラキラ輝いていた。



サッカーボールをもって
微笑んでいる優は
今ここに眠っている優とは

全く違う人間にも見えた。
それだけ優の病気の壮絶さがわかる。


でも優は本当に立派に
闘った。


今の優も私にとっては
この遺影の優と変わりないけど
棺をあけ
別れを告げた人たちは

遺影の優に感嘆の声を
上げるほど
爽やかで逞しくて優しい笑顔だった。



この笑顔を奪ったのは
やっぱり私なのかもしれない。
この笑顔は、理恵子さんに支えられていた笑顔


私の存在ひとつない
笑顔に決めたのは


優が最後に言った。


俺と亜恋の愛は完結・・・・・



その言葉を形にしたかったから。
優は天国に行ったら
理恵子さんと赤ちゃんに会って
幸せに暮らして過ごしてくれるだろう。
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