涙恋~RUIRENの魔法~
Dear  A  ~2~
妻に対する罪悪感が増す。
彼女は、俺の心の揺れを敏感に察してた。
それが長く一緒に
過ごしてきた彼女の特技だった。


でも妻は俺を決して
追い詰めることはない。
理恵子はそういう女だった。


必死に笑う理恵子に
俺は逃げ出したくなる。
子供ができた時は、
もしかしたらこれがきっかけで
俺はまっとうに生きていけるかも……
そう感じた。
亜恋へのときめきも
子供がきっと止めてくれるはずと
信じていた。


だけど運命はもう
こういう結末に向かって走り出していた。


亜恋が乱暴された


そう聞かされた時
俺はもう教師でも 妻がいる身でも
なんでもない
一人の男になっていた。


傷つき震える亜恋を抱きしめた時
もう束縛されない世界へと
飛び出していった。
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