涙恋~RUIRENの魔法~
学校のグランドが見えた。


私たちはグランドに入って行った。




「みんな思い通りになんか生きてない。
なにかを我慢しながら
それをつかみ取るために
努力する・・・・・
だからそれを手に入れた時
すごく嬉しかったりするんじゃないかな?
もし手に入れられなくても
そこまでの努力を
ほめてあげられる
自分になれるんだよ。」



私は圭を振り返った。



「圭は圭
愛斗は愛斗・・・・・
違う人間なんだもん・・・・
愛斗のこと誤解しないであげて。」



「おまえ、愛斗のこと・・・・・」



「うん、とっても大事な存在だよ。
これからは、愛斗が必要な時は
私が助けてあげたい。
愛斗が私にしてきてくれたことには
及ばないけど・・・・ね?
圭は、愛斗の大事な親友だから・・・・
圭の表情が気になってたの。」



「お見通しってことか?」


「圭は、素直だからね~」



圭は大きくため息をついた。


「ごめん・・・・・」



「あら?謝らないって言ったよね?」



圭が爽やかな笑顔を浮かべた。
心がキュンとした。



「俺、ほんとにおまえのこと
好きになったから・・・・・
おまえがいてくれたら・・・・・
愛斗の気持ちがよくわかった。
亜恋といると
頑張れる・・・・・・
自分が向上できるって
言ってた・・・・・。
俺も、おまえが欲しいって思う。」


まっすぐな目は愛斗と一緒だった。



「ありがとう。
でも今は・・・・・・・・
圭のことは友人としか思えない。」



「わかってるって。
おまえと話せてよかった。
俺さ・・・救ってもらいたかったんだ。
自分が嫌いになりそうで・・・・
俺も努力して
愛斗を追い越せるように頑張るよ。」



いつの間にか
空が夕焼け色に染まっていた。



「亜恋ってさ
いい女だよ~」



圭がそう言いながら
転がっていたサッカーボールを蹴り上げた。
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