涙恋~RUIRENの魔法~
同じ速さ
愛斗は、いつも何か言いたげだった。


私も愛斗と話をしたかったけれど
お互いに忙しすぎて
なかなか時間も合わない。
加恋の目も私にとっては
気になるところだった。


「亜恋!!」


学校の玄関を出る時
愛斗に声をかけられた。


「明日ってなんか用事ある?」


明日は優が病院に入った一年後で
あのアパートに行ってみようと
予定を立てていた。


「あるといえばあるけど?」


「明日、俺とデートして。」


「え?いや・・・だって・・・・
加恋怒るよ・・・・・・」


「誰にも見つからないところに
出かけよう。
明日朝一で小樽に行こう。」


「小樽・・・・・」



「俺さ、明日なら時間いっぱい使える。」


「う・・・・ん・・・・」


愛斗はいつもになく強引だった。



「明日、駅から7時50分発の汽車で~」


そう言って走り去った。


なんだか強引な愛斗に
胸が高鳴った。


なんだか楽しみで夜はなかなか寝付けなかった。



朝はとってもいい天気だった。
来月には雪が降る・・・・

秋の空は高かった。



念いりにおしゃれをしている私に
気づいて一人吹き出した。


駅の改札では
愛斗が待っていた。

私を見つけると、さわやかにほほ笑んだ。

「おはよう。」


「おはよう、いい天気だね。」


「うん、俺の行いがいいんだよ。」


そう言って、切符をくれた。


「あ、お金・・・・」


「今日は俺が強引に来たんだから
気にするな~
サッカーばっかで小遣い有り余ってるから。」


「ありがと」


改札を抜けて
ホームに降りた。



その時快速が一気に走り去った。


「キャ~」
思わぬ爆音に驚いて
愛斗に抱きついた。


快速が走り去って
我にかえった私は
慌てて、愛斗から離れた。
< 397 / 441 >

この作品をシェア

pagetop