涙恋~RUIRENの魔法~
「亜恋・・・・」

愛斗の声もあまりのショックに
遠くに聞こえる。


「亜恋!!!」


愛斗が大きな声を出した。


「なに・・・・?」


「もうコーチはいないんだ。
コーチだってこんな亜恋を見たいんじゃないだろ?」


「だって、だって
思い出が・・・・・思い出が・・・・・」


もう二人の部屋は完全になかった。

あまりに思いがけない光景に
我を失いかけていた。


その時ふわっと体が宙に浮いた。


「俺がいるだろう!!!
もういい加減、俺だけを見れよ。
もう待てない・・・・ずっとずっと
我慢してきたんだ。
俺じゃだめなのか?」


愛斗の胸の中にすっぽりと
抱きしめられた。


「コーチが言ってるんだよ。
歩き出せって・・・・・・。」


「ユウが・・・・?」


「だからこのアパートも消えていくんだ。」


「だって・・・
いつでもここに来れると思ってたのに・・・
部屋がなくなっちゃったよ・・・・・
ユウが待ってるのに
私もっと早くこればよかった・・・・・」
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